変異(大腿方形筋の欠如は日本人で男207体側のうち4体側(1.9%).女87体側のうち2体側(2.3%)である(小金井良精,新井春次郎,敷波重次郎:東京医学会雑誌,17巻,127~131,1903).):この筋が全く欠けていることがある.きわめてまれに2つあるいはそれ以上の筋束に分れている.下双子筋あるいは大内転筋との結合がみられている.
9. 外閉鎖筋M. obturator externus. (図561, 565, 566)
これは閉鎖膜およびこれを境する閉鎖孔の骨縁からおこる.その腱は大腿骨頚の後方を走り転子窩に達している.
神経支配:閉鎖神経による.
脊髄節との関係:L. III, IV.
作用:大腿を外方に回し,なおこれを内転かつ前方にあげるようにはたらく.
変異:この筋はほとんど変化しない.閉鎖神経および閉鎖動静脈によって,しばしば2つの部分に分れている.上方の小さい方の部分は恥骨枝の寛骨臼部から起っている.外閉鎖筋の腱が(きわめてまれに)股関節の関節包に終ることがある.
10. 大腿筋膜張筋M. tensor fasciae Iatae. (図562, 572, 573)
この筋は中臀筋のすぐ前方でこれと接していて,前腸骨棘の外側からおこり,大転子の前を通って腸脛靱帯に終り,この靱帯は下方にのびて脛骨の腸脛靱帯粗面Tuberositas tractus iliotibialisに固着している.
神経支配:上臀神経による.
脊髄節との関係:L. IV, V.
作用:この筋は大腿を前方に挙げ,大腿筋膜を緊張させ,大臀筋の上部と共同にはたらいて,腸脛靱帯を介して膝関節における終回転Schluflrotationに作用し,このとき下腿を外方に回すのである(321頁参照).
変異:この筋が全く欠けていることがある.2つあるいは3つの筋束に分れていることはきわめてまれである.
[図564] 右寛骨の内面における筋の起始と停止
大腿の筋群は次のように分類される,すなわちその位置により前方と内側と後方の筋群,またその作用により伸筋群と内転筋群と屈筋群である.
これには2層があり,縫工筋によって作られる浅層と大腿四頭筋よりできている深層とである.
1. 縫工筋M. sartorius, Schneidermuskel. (図562)
これは長くて,幅が狭く且つ薄い筋であり,前腸骨棘のすぐ下で始まり,大腿の前面を下内側方に走り,大腿骨の内側顆の後縁を越え,前方に曲がって脛骨粗面から遠くないところで脛骨の内側面に固着している.
最終更新日12/04/13
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