関節包の掌側面の上には比較的弱い補強線維束が縦・横・斜めに走っている.そのうち斜めの1線維束がつよく発達しているのが普通で(図422),これは尺側上顆のあたりから起って輪状靱帯に達している.同様に後面にも縦の方向に走る散在性の線維束がある(図428).
肘関節の血管は肘関節動静脈網から来る.神経は腕のすべての神経から来る.
肘関節の力学:肘関節は一種の蝶番関節で,中央軸をめぐって変動する.いろいろ異つた瞬間回転軸をもっている(R. Fick).
前腕の骨の運動は滑車と小頭との軸(これは両上顆のすぐ下方を横に走る)を中心として起る.そのさい尺骨の導隆線が滑車の溝にはまって滑るが,この溝はラセン状に走っているために,前腕骨ほ回転のさい橈側あるいは尺側へずれざるをえない.この「ずれ」がどの方向にどれだけ起るかは個体によってまちまちである.ラセンは右巻きのこともあれば左巻きのこともある.Hultkrantzは13例中3例に全く「ずれ」を認めず,残りの10例に0.5~2mmの「ずれ」が生じることを認めた.橈骨小頭はこの運動に参加している.尺骨が上腕骨に対してどんな位置にあるときでも,橈骨固有の回旋運動は可能である.
腕を伸ばした状態で,上腕骨頭の中点, および上腕骨小頭と橈骨小頭との中点を通る直線を下方へ延長すると,この線は橈骨下端部の回転の中心たる尺骨小頭の中点を通る.この軸が腕の構成軸Konstruktionsachse des Armesであって,肘関節の屈曲軸はこれと垂直をなしている.
[図428]右の肘関節(4/5) 直角に曲げたところを後方からみる.
手の関節は視骨手根関節・手根間関節・総手根中手関節・第1手根中手関節・豆状骨関節・中手指節関節・指関節である.
最初の2つの関節が狭義の手関節である.なぜならこの両者がいっしょになって,手ぜんたいの運動のときに働くからである.
この関節を構成しているのは手根骨のうち骨間手根間靱帯Ligg. intercarpica interosseaによってたがいに結合される近位列の骨(舟状骨・月状骨・三角骨)と橈骨であって,それになお関節円板が加わる.
関節面は橈骨の手根関節面Facies articularis carpicaならびに関節円板の遠位面と,舟状骨・月状骨・三角骨の近位関節面とである.
最終更新日12/04/13
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