Rauber Kopsch Band1.064   

 心筋線維はたくさんの枝分かれと合同をするので,全体として筋肉性の網状物(叢Plexus)をなし,その網の目ははなはだ鋭い角をしている.楕円に近い形の核が細胞の中軸にあって,そのまわりをとりまいて比較的多量の筋形質が紡錘状をなして集まっていて,そこにすでに若い人でも黄褐色の色素顆粒がみられる.細胞体は筋形質に包まれた横紋性の原線維と同じなのである.しかしここで次のことを述べておこう.心筋線維では原線維の集束が一部は稜柱状であり,一部は帯状をしていて,その帯状の束は細胞の周辺にあって,細胞の中軸に対して放線状の配列を示しており,稜柱状のものは細胞の中軸の近くにあって,帯状の束によって取り囲まれる状態である.

[図115]平滑筋の縦断17才の女の子宮筋層.×400. (Stieve, Z. mikr.-anat. Forsch.17. Bd.,1929. )

[図116]ヒトの心筋の縦断

 接合腺Kittlinienは場合によって,いろいろと異なる量にみられ,またはなはだ不規則な配置であらわれる.時としてそれがみられぬことがある.かなり多くの学者は心筋が個々の心筋細胞から組み立てられていることを否定している.できあがった心臓では全部の筋肉が単一の立体的網状を呈する合胞体であって,その個々の分節が介在部Schaltstuckeすなわちここにいう接合線によってたがいに結合している.この介在部は光輝線Glanzstreifenともよばれ,比較的新しい考え方によると心筋線維そのものに属しているのであって,そのことは心筋が収縮したときこの線が単屈折性となり,心筋が弛緩したとき,これが複屈折性となることから分かるという.しかしK. W. Zimmermannはその2人の女弟子,PalczewskaおよびWernerとともに新しい説をしりぞけて,古い方の見地が正しいとしている.心筋の起原は臓側板Splanchnopleura(中胚葉の側板の一部で内臓表面を被う部分)にある.

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最終更新日12/04/13

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