この変化が経過した後に初めて線維索の形成がはじまり,それとともに血漿の凝固,線維索と血清との分離がはじまる.線維索は細かい糸の形で,その一部は平滑であり,一部は顆粒をもっている.この細枝が放線状にすすんであらゆる有形成分に付着している.かくして線維索の糸でできたきれいな,眼の細かい網が生じて,この網が血小板の壊れたものやその他の有形成分をつつんでします.その後ではこの糸の塊が縮んで,そのために血清が押しだされる.凝固に要する時間は温度によって異なり,また1日のうち時刻によってお変動する(Bürker).温度が高いほど凝固に要する時間は短い.しかし別々の人でそれぞれ別の日に測ってみても,温度がほぼ同じで,それに時刻が同じであれば凝固に要する時間がほとんど同じである(Bürker).MorawitzおよびBürkerの研究は凝固が血小板の破壊と深いつながりをもつことを立証した.このことはBizzozeroのその他の人々がすでにその以前から主張してきたのである.
その寿命が終わったために消失したか,もしくはその他の原因で失われた血液の有効成分の補充はいろいろな場所でなされるのである.
白血球はすべてのリンパ性の器官(リンパ節,脾臓,骨髄)において既存のリンパ細胞が分裂して,これがリンパの流れを介して血液中に洗い出されることによって生ずる.
血小板はWright(55頁)によれば骨髄の巨大細胞から,Watzka(1938)によれば脾臓の巨大細胞や同じく細網細胞や脾洞の内皮細胞(杆状細胞Stabzellen)からできるという.
赤血球の形成は赤色骨髄でおこる.それもおそらくは血管の内部においてである.赤血球ができる場所と様式,とくにはじめに存在していた核がどういうぐあいにしてなくなる,またその他の点の詳細についていまでもまだ一致した見解が得られていない.赤色骨髄には多核の巨大細胞,白血球,骨髄細胞が存在する.骨髄細胞にはヘモグロビンを有たないのと,有っているのとがあって,後者の核が放射状の構造をもち,有糸分裂を示し,またその細胞の大きさがはなはだまちまちである(6~9µ).これが白血球の前身であって,赤芽細胞Erythroblastenとよばれる.循環する血液の中には白血球としてはいる前にその核が失われる(図104,105).
一部の学者(Ehrlich, Maximow)によれると核はまるごと細胞体の外にだされる.他の学者(Neumass, Kölliker, Grawitz)によると核は細胞の内部でだんだんと消えてしまう.
ヘモグロビンを有たない骨髄細胞は白血球の前身である.これが幼若な形から分節核をもつ白血球にまで発達する(図105).発達のあらゆる段階を示す,いろいろな形状の細胞がむらがって,細網組織の中に多数の(多少の差はあるが)脂肪細胞とともに存在している.細網組織を構成している細網細胞はその他の骨髄細胞よりも大形である.
白血球は血液内の細胞としてはわずかに1000分の2ほどにすぎないが,造血器官としての骨髄ではおよそ70%が白血球の前身であり,わずか30%が赤血球の前身である.-Schulten, H., Lehrbuch der klinischen Hämatologie. V. Aufl.1953. George Thieme Verlag, Stutgart.
[図105]正常の骨髄にみられる種々の細胞形 (H. Schulten.
最終更新日12/04/13
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