結合および支持組織の形状はあまりにも多岐にわたっているので,その分類ということが特に必要である.Waldeyerは次のように分類して,学生にこのむつかしい部分をできるだけ楽に会得させようとした.彼がいうごとく:
この組織は細胞間物質と細胞と線維とから成っている.その第1群では線維が他の2成分よりもずっとめだっている.それに属するのは
1. 普通の疎性結合組織gewöhnliches lockeres Bindegewebe.
内筋周膜Perimysium internum, 神経内膜Endoneurium, 腺の間やその内部,皮下組織などがそえである.
2. 定形(あるいは強靱)結合組織geformtes (straffes) Bindegewebe.
腱,筋膜,腱膜,眼球外膜Tunica exerna oculi, 薄膜Albugineaなどがこれに属する.
3. 弾性組織elastiches Gewebe.
平滑筋線維の腱,椎弓間靱帯Ligg. inerarcualia,肋間靱帯Ligg. intercotalis,血管壁の中などである.
第II群は細胞間物質が他の2成分よりも著しくみえるもので,これに属するのは
4. 軟骨組織Knorpel-Gewebe.
a)硝子軟骨
肋軟骨あるいは関節軟骨,また喉頭,器官,鼻そのほか数カ所にある.
b)線維軟骨
椎間円板,関節半月と関節円板,大腿骨頭靱帯,関節唇,なお所により腱や腱鞘のなかにある.
c)弾性軟骨(あるいは網状軟骨).
耳,喉頭蓋,そのほか喉頭の披裂軟骨の一部,小角軟骨,楔状軟骨がこれである.
5. 骨組織Knochengewebe.
骨格をなしている骨やいくつかの感覚器にある.また筋系統とともに近い関係にある種子骨や腱の骨化もこれに属し,歯ではセメント質がこれである.なお喉頭軟骨および肋軟骨が年齢が進むにつれ骨化することもここで指摘しておく.
6. ゾウゲ質組織Zahnbeingewebe.
これは歯にだけある.
第III群は細胞そのものが最もめだってみえる場合である.
7. 脂肪組織Fettgewebe.
体じゅうどこにもあるが,とくに皮下組織,腸間膜,腎臓の脂肪嚢でよく発達している.
8. リンパ性組織(あるいは細網組織)lymphoides (cytogenes, adenoides, retikuläres) Gewebe. リンパ節,内分泌腺,骨髄,胸腺などにある.
9. 色素組織pigmentiertes Gewebe.
眼球中膜tunica media oculiがその例.
10. 内皮組織Endothelgewebe.
血管やリンパ管を被い,またリンパ腔Lymphräumeを被っている.
11. 胎児性結合疎域embryonales Bindegewebe.
胚子embryoや胎児Fetusの体にある.
1. 普通の疎性組織結合は細胞間物質(これは同時に原線維間物質でもあるが),膠原線維,弾性線維,格子線維,固定結合組織細胞,遊走細胞,顆粒をもつ細胞(これにはEhrlichの肥満細胞Mastzellen, Waldeyerの形質細胞Plasmazellen, Ranviewの断裂細胞Clasmatocytenがある)からできている.それになお少数の脂肪細胞や色素顆粒をもつ結合組織細胞が加わっている(図64).
線維は一見したところ不規則に入り乱れており,いろいろな方向に走ってたがいに交わっている.外観により,また物理的および化学的性質の違いから,a)膠原線維collagene (leimgebende) Fasern, b)格子線維Gitterfasern, c)弾性線維elastische Fasernを区別する.
膠原原線維collagene Bindegewebsfirillenは非常に細いもので,その長さはしばしばはなはだ大であり,色は淡白で,均質にみえて,条らしい模様を示さない(近年,電子顕微鏡の利用によって膠原原線維に横縞のあることが確証された.(小川鼎三)).これはコラゲンCollagenという物質よりなっていて,煮ると膠Leim (Glutin)ができる.この線維が孤立していることもあるが,またいろいろな太さの束に合している.少量の原線維間物質がその間をくつつけ合わせている.
最終更新日12/04/13
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